大奥では数多くの女性たちが働いており、それなりのお給料をもらって生活をしていました。
しかし、男性は将軍ただ1人。
特に高位の女中になればなるほど汗水を垂らすような力仕事をすることもありませんでした。
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その代わりおしゃれのためのお金をたくさんもらっていますので、自分を着飾って女中たちのファッションリーダーになったり、将軍に見初められることを考えて生活していました。
そこで今回は、大奥女中たちが実際に使っていたアクセサリーや装飾品にはどのようなものがあったのかをご紹介していきたいと思います。
今でも使われているものから、廃れてしまったけどおしゃれだった小物までいろいろと調べました。
目次
櫛(くし)
まずは櫛です。櫛は現在でも使われていますが、ただ単に髪をとかすための道具としての役割が多いですよね。
しかし、時代劇などを想像すると、結い上げた髪の毛に櫛を指している様子などが見られます。
櫛は現在でいうところのヘアバンドやピン止めのように髪に刺しておしゃれに使う髪飾りでした。
そんな櫛にも江戸時代という長い時代の中でかずかずの進化がありました。
山高型櫛
まずは、縦に長く、上部だけ円のように綺麗な曲線を描いている形の山高型櫛です。よく時代劇などで頭に刺しているのはこの形が主流ではないでしょうか。
手に持つところも充分に取られていますので、とかしやすいのも特徴ですし、コンパクトで持ち歩きやすいです。
利休櫛
山高型櫛に対抗して、半月のような形から山形を少し残しつつ、定規のように横に長くした利休櫛というものが登場しました。
デザインの違いのイメージとしては財布と長財布のような感じですね。
この後、大型の櫛の使用が禁止されます。(奢侈禁止令(しゃしきんしれい)により、華美な衣装や飾りをせず、倹約をしろという御達し)
月形櫛
こうしてコンパクトにしないといけなくなった櫛ですが、半月のようにまんまるで小さく、しかし技巧を凝らした月形櫛というものがブームになります。
小さいながらもインパクトを与えるような模様や、綺麗なべっ甲などを用いたり、蒔絵といってイラストを施したもので差をつけました。
笄(こうがい)
続いて笄です。
笄というのはかんざしよりもう少し寸胴で、用途としては髪に差し込むタイプの髪飾りです。
見てわかるように、少し太くて存在感がありますね。
しかし、これは装飾品として確立した笄です。
笄はのちにかんざしと同じように使われましたが、最初は髪をまとめる為の道具でした。
初期の笄は、細長い棒でお箸のように太いところからだんだんと細くなっている形状をしており、髪の毛をしっかりとまとめて最後に刺してまとめる感じで使っていたようです。
ところが、江戸時代中期ごろから写真のようなおしゃれな髪飾りとして使われるようになりました。
現在笄を使っていらっしゃる方で有名な方だと、黒柳徹子さんがいらっしゃいます。
結った髪の毛に刺してある、かんざしとは違うあの太めの棒のようなものがそうですが、イメージは湧きましたでしょうか?
デザインとしては、写真のようなべっ甲などを使ったものから、ガラスを使った透明なもの、真ん中から二つに割れるタイプのものなど多岐にわたっていましたが、明治ごろまで使われていたものの、現在はかんざしやピン止めなどの登場で廃れてしまいました。
簪(かんざし)
続いてかんざしです。かんざしは笄が活躍し、髪を結わえてまとめるのが主流で流行っていた江戸中期くらいまではそこまで日の目を見ませんでしたが、躍進したのは江戸後期になってからでした。
笄が完全に飾りのような役割を果たし、髪に刺して遊ぶという文化がどんどん根付いていくにしたがって、かんざしも進化を遂げていったのです。
そして、かんざしが笄のようなものに進化していきました。
両天簪(りょうてんかんざし)
その中でもブームとなった簪がこちら。両天の簪です。
両天簪とは、笄の代わりに平常用いるもので、二本の棒の端に一対の定紋や造花をつけ、二本の棒を中央で差し込んで用いるものです。
引用:精選版 日本国語大辞典
写真のように、端と端にお花や家紋などを付けて、それを髪に差し込むことで、ちらっとその模様が見えることがおしゃれとされてきました。銀製のものや、べっ甲のものなど、さまざまな材質で作られました。
紙入れと箱迫
続いて紙入れです。別名鼻紙袋。
今でいうところのポケットティッシュが江戸時代からありました。もともとは男性の実用品でしたが、江戸時代の後期に差し掛かると、女性用のおしゃれな小物入れとして流行し、持ち歩かれるようになりました。
さらに発展したのが箱迫(はこぜこ)です。
綺麗な刺繍が施された小さな箱型携帯バッグです。
引用:筥迫保管箱(貼り箱) | 筥迫は続くよどこまでも!
この中には鏡や化粧道具、紙などを入れて持ち歩きました。今でいうところのサコッシュやシガレットケースのような役割をしており、これを持ち歩くだけで少しの用事なら済むようになっていました。
今でも七五三などで小さながま口のようなものを持っているのを見かけますが、それも箱迫と呼ばれて販売されています。
ちなみに箱迫の名前の由来は「狭い箱」だそうです。明治まで大活躍しました。
帯留(おびどめ)
江戸時代の中期になり、今と似たような太い帯が一般的になると、固定するための紐と帯留が産まれるようになりました。
この帯留の部分もおしゃれになり、技巧を凝らしたものが流行しました。
腕守(うでまもり)
江戸時代にも意外にブレスレットのような装飾品がありました。
ブレスレットとは少し違うのですが、「腕守(うでまもり)」という名前で、二の腕につけて楽しみました。
ビロードをわっかにして、金具で止めたのですが、その金具の中にお香などを入れてとてもおしゃれだったようです。
ところが明治時代にこの腕守が入れ墨隠しだと言われるようになり、悪評だらけに。そして急激に衰退してなくなってしまいました。
参考
カラー版 徹底図解 大奥(新星出版社)
最後に
今でも使われているものから、もう廃れて今では見ないものもありました。
江戸時代の女性や大奥の女性は、こういった細かいおしゃれをし、いろいろな流行をとらえることにより、江戸城というひとところの場所での閉じ込められた生活に楽しみを覚えていたと言われています。
このような知識があると、実際にドラマや映画で大奥が題材となったときに、装飾品の意味や使い方がわかりますし、細部まで楽しむことができるのでぜひ覚えてみてください。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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